難民認定申請中の在留資格変更について

難民認定申請は、申請から結果交付まで平均して2~3年かかると言われています。その審査の長さ故、難民認定申請をした外国人の多くは、「特定活動」という在留資格が付与され、申請から半年後に就労が許可されます。

この難民認定申請中の外国人が日本に在留している間、他の在留資格に変更することはできるのでしょうか。
※難民認定申請中の「特定活動」については、以下にて詳しく解説しています。

難民認定申請中の在留資格変更について

以前は、難民認定申請中の外国人が他の在留資格に変更することは、基本的には認められませんでした。しかし、2018年頃より難民認定申請中でも在留資格の変更が認められるようになっていき、2022年現在では、合理性や整合性が欠けていない限り、基本的には認められる傾向にあります。

ただし、難民認定申請をしていない外国人と比べると当然許可のハードルは高くなりますので、通常の申請と同じような申請方法では不許可となる可能性が高いでしょう。慎重かつ丁寧な書類作成、準備が必要となります。

「技術・人文知識・国際業務」への変更

難民認定申請中の外国人が変更する在留資格として最も多いのが、就労ビザと呼ばれる「技術・人文知識・国際業務」でしょう。

難民認定申請後、基本的には6か月後に就労が可能となりますが、就職先でそのまま「技術・人文知識・国際業務」を取得したいというお問い合わせを多くいただきます。

しかし、多くの方は「技術・人文知識・国際業務」で認められる業務内容を詳しくは理解しておらず、認められない業務内容で働いているため、在留資格の変更ができません。
「技術・人文知識・国際業務」を取得したいのであれば、認められる業務内容と認められない業務内容をしっかりと把握しましょう。
※収入を伴う事業を運営する活動は含まれませんので、会社を設立、運営し、「経営・管理」への変更は認められません。

認められる業務内容の例

  • IT企業でのシステムエンジニア
  • 営業企画、マーケティング担当
  • 翻訳・通訳、英会話教室の先生

「専門的な知識を生かした業務」や、「外国人特有のスキルを活かした業務」が当てはまります。

認められない業務内容の例

  • 工場での機械器具加工
  • コンビニ、飲食店の店員
  • ビルの清掃員

専門的な知識や外国人特有のスキルを使用しない業務が当てはまります。単純就労は絶対にNGです。

※「技術・人文知識・国際業務」については、以下ページでも詳しく解説しています。

「定住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「家族滞在」等への変更

難民認定申請中に、日本の在留資格を持つ外国人や日本人と結婚した場合、身分系の在留資格への変更が可能となりますが、難民認定申請中の短い期間で結婚するわけですから、「婚姻の実体」があるかどうかについて非常に厳しく審査されます。

在留資格を取得するための偽装結婚を疑われないために、出会いのきっかけや交際期間にデートした回数、場所、結婚のきっかけ、生活費の支弁方法等を極めて詳しく説明する必要があります。
※「婚姻の実体」の立証については、以下ページでも詳しく解説しています。

在留資格認定証明書交付申請の検討(不許可後の申請)

入管は、「難民認定申請をした」という一事をもって不許可とすることはありません。難民認定申請をした理由が悪質であったり、難民認定申請時に提出した書類と在留資格変更申請時に提出した書類の整合性が合わない時等に不許可となる可能性があります。

よくある不許可理由としては、難民認定申請をした理由は、「日本での在留を引き延ばしたかったから」等、難民認定申請の趣旨に合わない理由であったことを述べてしまうケースです。

難民認定申請は、申請中は日本に在留できることから、難民が理由ではなく、日本に在留し続けるために申請する外国人が多いです。本来助けるべき難民の審査の圧迫につながるため、不純な動機での難民認定申請は厳しく対処されます。

難民認定申請中の在留資格変更が不許可となった場合でも、不許可の理由によっては一度帰国してから再び在留資格認定証明書交付申請を経て、日本に戻ってこれる可能性がありますので、虚偽の申請は絶対にやめましょう。

まとめ

難民認定申請の許可率は依然として低く、令和3年の許可率は約3%です。難民認定申請後、不許可となれば日本を出国するしかないので、難民とは認められないがどうしても日本に滞在しなければならない理由がある方は、専門家に相談することをお勧めいたします。

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