永住者になりたい

在留資格「永住者」は、「法務大臣が永住を認める者」として日本での活動内容、在留期間の制限を受けず、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。

日本に留学生として滞在している外国人や働いている外国人は、就学や就労という目的があって日本に滞在することができていますが、永住者は何の目的もなく日本に滞在できます。そのため、一般の在留資格変更手続と比べて非常に慎重に審査されています。

永住許可取得のための基本的な要件について、解説いたします。

永住許可申請方法とは?~法律上の要件~

①素行が善良であること(素行善良要件)

日本の法律に違反し、懲役、禁固または罰金に処せられていないか、素行善良と認められない特段の事情があるか等を審査されます。

法律違反歴があれば直ちに問題となるわけではありません。実務上、スピード違反や標識違反等の軽微な道路交通法違反については、それだけで素行善良要件を満たさないとは言えない可能性が高いです。反対に、法律に違反していなくても地域社会の風紀を乱す行為等が発覚した場合は、素行善良要件を満たさない可能性があります。

②独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)

申請人自身または配偶者の職業、有する資産、収入等によって、将来において日本で安定した生活が見込まれるかを審査されます。生活保護受給者や、納期が到来している未納税があると不許可になる可能性が高いです。年収はおおむね300万円以上であることが求められ、それに満たないと独立して生計が立てられないと判断されやすいです。

必ずしも申請人自身の収入や資産があることが必要ではなく、申請人が配偶者等とともに生活をしている場合には、配偶者の収入や資産を合わせて、世帯単位で見た場合に安定した生活が見込まれると判断される場合には独立生計要件を満たすものとして扱われる可能性もあります。

③その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)

原則として、引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。また、この期間のうち就労資格又は居住資格をもって継続的に5年以上在留していることを要します。

「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることを言います。再入国許可やみなし再入国許可で一時的に日本を離れている場合は在留が継続していることになりますが、出国中に再入国許可が失効したり、再入国許可を受けずに出国したりすると、在留が継続していることにはなりません。

また、再入国許可を受けての出国であっても、在留期間の半分以上を海外出張等により海外で生活しているような場合は、生活の本拠が日本にないと判断され、合理的な理由がない限り国益適合要件を満たさないと判断される可能性があります。

実務上、出国期間が長い外国人については、長期出国の理由、仕事や家族の状況、資産状況、日本における今後の生活や活動計画等を総合的に考慮した上で判断するため、出国期間が長いからと言って直ちに不許可となるわけではありません。

※原則10年在留に関する特例

上記③の国益適合要件を満たすためには、「引き続き10年以上日本に在留していること」が必要ですが、この10年在留には様々な特例があります。
詳しくは以下ページをご参照ください。

身元保証人について

身元保証人となれる人は、日本人又は永住者です。
身元保証人と聞くと金銭消費貸借契約の連帯保証人を連想して、何かあったときに損害賠償等金銭を請求されるなどと思われてしまいがちですが、永住許可申請の身元保証人はそうではありません。「本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うこと」を保証します。つまり、日本の法律を守り、納税等の義務を履行するよう指導する、道義的責任が課せられていることになります。仮に永住者が法律違反をしたとしても、身元保証人には何の罰則もありません。

必要書類

申請人の在留資格や在留状況によって異なりますので、一般的な必要書類を記載いたします。詳しくは出入国在留管理局のHP(永住許可申請 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp))を確認しましょう。

  1. 永住許可申請書
  2. 顔写真(4×3)
  3. 理由書
  4. 住民票
  5. 職業を証する書類(在職証明書、確定申告書控え等)
  6. 直近5年分の住民税の課税、納税証明書
  7. 直近5年分の源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
  8. ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
    ※国民年金に加入していた方は、国民年金保険料領収書写し
  9. 健康保険又は国民健康保険被保険者証写し
    ※国民健康保険加入者は保険料納付証明書及び領収書写し
  10. 資産を証明する書類(通帳写し、不動産登記簿謄本等)
  11. 身元保証書
  12. 身元保証人の職業を証する書類、住民票、住民税の課税、納税証明書
  13. 日本への貢献に関する書類(表彰状、推薦書、論文等)
  14. 了解書

【番外編】特別永住者について

特別永住者とは、1991年11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」により定められた、法務大臣が特別に認めた永住者です。戦前日本が統治していた中国、台湾、韓国に住んでいて、戦後日本の統治が終了した後に日本国籍を離脱せざるを得なくなった方々やその子孫が当てはまります。実務上手続や問題となるケースはほとんどないので、存在だけ知っていればよいでしょう。

まとめ

永住許可申請は、申請人の在留資格、在留状況、過去の学歴、職歴、今後の日本滞在目的等によって必要書類や気を付けるべきポイント等が異なります。申請は必ず許可となるわけではなく、審査の上で判断されることとなります。特に永住許可申請は必要書類が多く、審査も長期間に渡ります。初めて申請される際は、一度専門家に相談することをお勧めいたします。

永住者になりたい” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です