帰化と永住の違いとは
帰化と永住は、どちらも日本への永続的な在留を認めるものですが、実際は大きく異なります。その違いについて見ていきましょう。
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目次
帰化とは
帰化とは、日本国籍を取得することです。日本国籍を取得した者は、日本人として扱われます。
日本は2重国籍を認めていないので、日本国籍を取得し、2重国籍となった日から2年以内に元の国籍を離脱する必要があります。(20歳未満の方は22歳までに国籍の選択をする必要があります。)
日本人と同じ扱いとなるため、参政権や戸籍の取得が可能となるほか、退去強制や出国命令を受けることがないため、本人が日本国外での生活を望まない限り、日本に在留し続けることが可能です。
永住とは
永住とは、日本に永住することを目的とした外国人に付与される在留資格です。国籍は変わらないため、日本人ではなく外国人として扱われます。
永住は認められていても、あくまで外国人の扱いなので、在留カードの携帯義務や、7年ごとの在留カードの更新が必要であり、日本を出国する際、再入国を希望する場合は、事前に再入国許可(又はみなし再入国許可)を取得することが必要です。
またオーバーステイや不法就労を行った外国人等になされる、退去強制や出国命令等の対象となるため、永住者となった後でも日本に在留し続けられなくなる可能性があります。
帰化と永住の違い
帰化と永住の代表的な違いをまとめました。
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帰化のメリット・デメリット
帰化の代表的なメリット、デメリットをまとめました。
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帰化の要件
帰化許可申請をするためには、いくつかの要件をクリアする必要があります。
住所要件
継続して5年以上日本に住んでいることが必要です。住んでいる期間は適法な在留資格を有していなければなりません。
なお、以下に該当する方は期間が緩和されます。
(例)
日本生まれの方:3年
日本人の配偶者で婚姻から3年未満の方:3年
日本人の配偶者で婚姻から3年以上の方:1年
日本人の子(養子を除きます。):期間の制限なし
「継続して」とは、一度も在留資格が途切れたことがないことを意味しています。
在留資格の空白期間がなくとも、例えば、海外留学で2年間日本国外で生活していた等、日本を離れている期間が長い場合は、認められない可能性があります。
観光や出張は、短期間であれば問題ありません。
能力要件
18歳以上であること。
母国においても、法律上の成人に達していることが必要です。
素行要件
素行が善良であることが必要です。犯罪歴の有無・態様、納税状況、社会への迷惑の有無等を総合的に考慮し、社会通念上、素行善良であるかどうかが判断されます。
犯罪歴があれば直ちに問題となるわけではありません。実務上、スピード違反や標識違反等の軽微な道路交通法違反については、それだけで素行善良要件を満たさないとは言えない可能性が高いです。反対に、法律に違反していなくても地域社会の風紀を乱す行為等が発覚した場合は、素行善良要件を満たさない可能性があります。
生計要件
収入に困窮することなく、日本で生活していけることが必要です。
永住許可申請においては、概ね年収300万円以上ないと認められない可能性が高いですが、帰化申請においては、永住よりは比較的緩やかに審査される傾向があります。
本人が無収入であっても、配偶者等の収入で生活できていれば問題ありません。親族等の仕送りでも問題ありませんが、預貯金額等で仕送りが途切れることがないことを証明する必要があります。
重国籍防止要件
帰化によって、元の国籍を離脱することができることが必要です。本人の意思では国籍の離脱ができない国は認められません。
憲法遵守要件
暴力団や反政府組織、あるいはそれに類する団体に所属していないかが確認されます。またそのような団体に所属していなくとも、書籍や論文等で日本を破壊するような思想を持っていると判断された場合も認められません。
※日本語能力
直接の要件ではありませんが、日本で生活していくにあたり、日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)を有しているかが確認されます。
帰化申請の書類や面接は日本語で行われますので、ある程度受け答えができる日本語能力は必要でしょう。
帰化申請の流れ
- 住居地を管轄する法務局への相談
- 帰化申請に必要な書類は、外国人一人一人の経歴や日本滞在状況、家族や親族の状況によって異なります。法務局に相談した後、要求される必要書類を収集します。
母国の戸籍謄本や家族、親族の戸籍謄本、無犯罪証明書等、母国の役所や大使館で取得しなければならない書類が多くあります。
大量の書類を収集できるかどうかが、最大のハードルと言っても過言ではないでしょう。
- 帰化申請に必要な書類は、外国人一人一人の経歴や日本滞在状況、家族や親族の状況によって異なります。法務局に相談した後、要求される必要書類を収集します。
- 申請書類の作成
- 法務局から渡される、帰化申請書類に記入します。本人の情報はもちろん、家族、親族の情報や帰化する理由等を記載します。
- 法務局での書類の確認
- 必要書類が全て揃ったら、一度法務局に持っていき、確認してもらいます。多くの場合は、一回の確認では終わらず、追加の書類を要求されます。
何回かの書類の確認を経て、受理されます。
- 必要書類が全て揃ったら、一度法務局に持っていき、確認してもらいます。多くの場合は、一回の確認では終わらず、追加の書類を要求されます。
- 法務局での面接
- 必要書類が受理された後、指定された日時に法務局にて面接を行います。提出した書類に関することがほとんどですので、書類と整合性が合うように受け答えすることが必要です。
- 近隣調査、職場調査等
- 面接をクリアした後、本人が住む家の近隣住民へのインタビューや職場への問い合わせが行われる場合があります。本人の生活態度や勤務態度、周りからの評価が確認されます。
- 許可、不許可の決定
- 法務局での十分な審査の後、許可もしくは不許可の決定がなされます。許可の場合は電話、不許可の場合は郵送での通知が一般的です。
書類が受理されてから結果の交付まで、概ね10ヶ月~1年ほどかかります。
帰化の人数
直近3年間の帰化許可の人数は、令和元年:8,453人、令和2年:9,079人、令和3年:8,167人となっており、帰化制度開始以降の通算の人数は、585,488人となっています。
※参照「帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移」
まとめ
外国で生まれた方が、今後日本人として生きていくことを選択することは難しい決断だと思います。
今後母国に戻ることを予定していない方でも、いきなり帰化申請をするのではなく、まずは永住許可を目指し、その後帰化の申請をするという方法が一般的でしょう。
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【Profile】
2014年に明治学院大学法学部を卒業。その後大手行政書士法人にて7年間業務に携わり、2022年10月にリノバース行政書士事務所を開業。外国人のビザ、在留資格申請をはじめ建設業、宅建業等の各種許認可申請、会社設立、合併、分割等の会社法関連業務を得意とする。