社団と財団の違いとは?

一般社団法人と一般財団法人について、よく耳にしますがその違いはどのようなところがあるでしょうか。

いまさら聞けない社団と財団の違いについて解説いたします。

社団と財団

正式名称は、「一般社団法人」と「一般財団法人」です。どちらも「営利を目的としない法人」という特徴が挙げられます。

企業が社会貢献活動の一環として行うボランティア団体や、研究機関、美術館の運営等、営利性が低い事業でよく見られます。

※営利を目的としない法人(非営利法人)とは?

非営利法人とは、ひと言で言うと「利益分配をしない法人」です。

株式会社は利益が出ると株主に配当しますが、非営利法人は利益が出ても社員等構成員に分配しません。利益は全て法人に帰属します。

よく「利益を上げる活動をしてはいけない」と思われがちですが、そんなことはありません。利益を上げる事業も可能で、事業内容に制限はありません。

社団と財団の違い

社団とは

社団とは、「人」が集まってできる法人です。

人の集まりとは、例えば、大学の卒業生が集まる〇〇大学同窓会、地域のボランティア活動等を企画、運営する○○地域自治会等です。

何かビジネスを事業とするわけではないにせよ、個人で活動するより団体で活動した方が都合が良い目的の場合に、社団法人が使われます。

人の集まりなので、設立時の出資金は不要です。

社団法人となることで、法人として銀行口座を開設したり、契約を締結したりすることが可能となります。

財団とは

財団とは、「財産(金、物)」が集まってできる法人です。

財産の集まりとは、例えば、大学等の奨学金を管理する○○奨学金団体、絵画や骨とう品等の管理をする○○文化財保護団体等が挙げられます。

財団法人は社団法人と異なり、設立時に300万円以上の出資が必要です。

個人で管理するには大きい財産を、法人化することで複数人で管理した方が都合が良い場合に、財団法人が使われます。

公益法人と一般法人

社団法人と財団法人はそれぞれ、「一般」と「公益」があります。

公益法人とは、一般法人のうち、公益性審査を経て行政庁(内閣府又は都道府県)から公益認定を受けることで、公益社団・財団法人として税制上の優遇措置を受けることができる法人です。

公益性の審査においては、以下のようなことが審査されます。

  1. その法人の事業内容が、公益社団及び公益財団法人の認定等に関する法律に定められた、学術、技芸、慈善その他の公益に関する23種類の事業であって、不特定多数の者の利益の増進に寄与するものであること
  2. 投機的な取引、高利の融資等社会的信用失墜・公序良俗違反の事業でないこと
  3. 収益事業等公益目的事業以外の事業の実施が公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること

※公益目的事業23種類

1. 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
2. 文化及び芸術の振興を目的とする事業
3. 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
4. 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
5. 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
6. 公衆衛生の向上を目的とする事業
7. 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
8. 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
9. 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
10. 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
11. 事故又は災害の防止を目的とする事業
12. 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
13. 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
14. 男女共同参画社会の形成その他のよりよい社会の形成の推進を目的とする事業
15. 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
16. 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
17. 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
18. 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
19. 地域社会の健全な発展を目的とする事業
20. 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
21. 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
22. 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
23. 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

一般法人は登記のみで設立できますが、公益法人は行政庁の審査をクリアする必要があることが大きな違いです。

まとめ

目的によって、社団と財団は使い分ける必要があります。

設立後の機関運営の方法等も多少の違いがありますので、どちらを設立すべきが迷った際は、専門家に相談することをお勧めいたします。

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