「資料提出通知書」が届いた場合の対応

出入国在留管理局(以下「入管」と言う。)に在留資格の変更や更新等を申請した後、資料提出通知書が届く場合があります。
届いた時はどうすればよいか、解説いたします。

資料提出通知書とは

入管は原則、提出された書類のみで審査を行います(書面審査主義)。申請の内容によっては細かいニュアンスまで書類に記載することが難しいこともあるかと思いますが、それがうまく伝わらなかった時、審査官は提出された書類だけでは許可不許可の判断に困る場合があります。

そこで審査官は、もっと詳しい説明が欲しい場合や、単純に定められた書類が不足していた場合等に、追加の書類を求める通知書を申請人に送付します。

資料提出通知書は、原則申請した人に対して発送されますので、外国人本人が申請していた場合はその外国人の自宅へ、企業や行政書士が代行申請していた場合は、当該事務所等の所在地へ発送されます。

資料提出通知書には、追加の提出資料の内容と提出期限が記載されており、期限日までに追加提出しなかった場合は既に提出された書類のみで審査されることとなり、その場合はほとんど不許可となるでしょう。
提出方法は郵送または持参です。

求められた追加資料の提出が期日までに間に合わない場合は、入管と相談し期限を延ばすことができますが、合理的な理由がない限りは期日までに提出した方が良いでしょう。

外国人本人宛に届く場合は注意が必要です。
自宅の郵便受けを確認する習慣がない方や、母国に帰るなどして長期間自宅を離れる予定のある方は、資料提出通知が来ていたことを知らずに提出期限が過ぎてしまうといったケースがあります。
雇用する外国人が本人で申請する場合は、会社からも注意を促した方が良いでしょう。

資料提出通知書の意味

資料提出通知は、既に出された書類では許可できない、不許可となる可能性があるということを意味しています。

単純に不足書類があった場合は除いて、資料提出通知が届いた場合は入管に何かしら疑われているという意識をもって対応しましょう。

対応方法

追加提出を求められている書類を準備し、提出することが必要です。しかし、ただ単に求められた書類を準備しただけでは不許可となる可能性があります。

ポイントは、「追加提出資料を求めている意味を読み解く」ことです。

具体的なケース

実際にあったケースを見ながら理解しましょう。

1. インド料理店で働くインド人のケース
【申請内容】
都内にある週6日営業のインド料理店の調理師として雇用されたインド人が、「技能」の在留資格を申請。
【資料提出通知書の内容】
1.雇用している外国人のリスト
→調理師:インド人3名
 ホールスタッフ:ネパール人1名、日本人2名
2.申請人を含めた全てのスタッフのシフト予定表
→申請人雇用後のシフト予定表を2か月分程度作成。 週6日の営業日の内、全てのスタッフを週休2日とすると、調理師3名体制の日が発生する。
【入管の疑い】
・申請人がいなくても既に営業できている料理店のため、追加で調理師を雇用する必要性があるのか。
・調理師としての業務ではなく、接客や配膳等のホールスタッフとしての業務を行うのではないか。
【結果】
調理師3名体制のシフト日はホールスタッフが0名だったため、必然的に調理師が接客や配膳等を行うことが予想される。「技能」の在留資格で認められる業務は調理師としての業務のみであり、接客や配膳は認められない業務であるため、不許可となった。

申請する在留資格で認められる業務範囲を理解しておくことが重要。
2.アパレル店舗で働く中国人のケース
【申請内容】
都内のアパレル店舗での店員として採用された中国籍新卒社員が、主たる業務を接客業務に伴う翻訳通訳業務として、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請。 また将来海外のECマーケット担当として活躍していただくために、自社商品を学ぶ必要があり、入社当初は翻訳通訳を伴わない接客業務も行う旨申請。
【資料提出通知書の内容】
1.入社から1~5年目までのキャリアプランを説明した資料
【入管の疑い】
アパレル店舗での日本人に対する接客、品出し、検品、清掃等の業務は、「技術・人文知識・国際業務」では認められない。入社当初の翻訳通訳を伴わない接客業務は、どの程度の期間なのか。
【結果】
「入社1年目は店舗での日本人に対する接客業務に従事し、自社商品と商品の売り方を学び、2年目からはエリアマネージャーとして複数店舗の管理を行う。 3年目からは本社勤務とし、入社2年間で培った知識を生かしてECマーケット担当として主に海外への販路開拓に従事してもらう。」
以上のキャリアプランを記載し提出後、許可となった。

「技術・人文知識・国際業務」で認められないような店舗での接客業務であっても、将来のキャリアプラン上必要不可欠であることを説明すれば許可となる。

1のケースは、行政書士等の専門家ではなく申請人自身で申請していたため、在留資格で認められる範囲の業務をしっかり理解しておらず、追加資料を準備、提出した結果、不許可となっています。
在留資格の制度を理解していれば上手にシフト表を作成し、許可となり得たでしょう。

2のケースは、行政書士に相談したため、店舗での業務は認められない業務であると認識した上で追加資料を作成、提出し、許可となることができました。

このように、追加資料は審査の許可不許可を決定する重要な要素について求められるため、安易に提出せず慎重に進める必要があります。

まとめ

追加資料通知書が届いてしまうと、追加資料を準備する時間と手間がかかり、またその間審査がストップしてしまうので審査の長期化にもつながります。

申請書類は自分が審査をする立場になったつもりで準備し、予想される入管からの突っ込みどころを全て埋めていきましょう。

また追加資料通知書は書面で届きますが、まれに申請人あてに直接電話で質問が来るケースもあります。入管から電話が来たらむやみにその場で即答せず、しっかり質問をかみ砕いてから折り返した方が無難でしょう。

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