日系4世の日本滞在方法

出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」と言う。)上、日系人については3世まで受け入れ可能であり、「定住者」の在留資格が与えられます。

日系4世については一部の特別な事情を除き、日本の在留資格が与えられていなかったところ、平成30年より、日系4世の受入が拡大しました。
日系4世が日本に入国する際の在留資格について解説いたします。

「特定活動」(日系4世)

一定の要件を満たす日系4世を受け入れ、「日本文化を習得する活動などを通じて、日本に対する理解や関心を深めてもらい、日本と日系4世の現地との結びつきを強める懸け橋となる人材を育てる」ことを趣旨として、日系4世に在留資格「特定活動」を付与することが、平成30年に決定しました。

これは日本への定住を認めるものではなく、配偶者や子の帯同も認められません。

日本への定住が認められる日系3世までとは異なり、日本に在留できる期間は最長5年間であることに注意が必要です。

受け入れ対象者

以下の要件を満たす、18歳以上30歳以下の日系4世です。日本入国予定日時点での年齢であればよく、日本入国後30歳を超えても問題ありません。

要件

以下の1~7全てを満たすことが要件です。

  1. 特定の個人又は団体(日系4世受入サポーター)から日本での活動の円滑な遂行に必要な支援を無償で受けることができる環境にあること
    ※日系4世受入サポーターとは、例えば、親族、ホストファミリー、雇用主等が想定されており、詳しくは入管庁HP「日系4世受入サポーターの手引き(https://www.moj.go.jp/isa/content/001344925.pdf)」を参照してください。
  2. 帰国旅費が確保されていること
  3. 滞在費支弁能力があると認められること
  4. 健康であること
  5. 素行が善良であること
  6. 医療保険に加入していること
    ※日本入国後に公的医療保険に加入する予定があることで足ります。
  7. 一定の日本語能力があること
    ※日本入国時点で、少なくとも日本語能力試験N5、J.TEST実用日本語検定のF-Gレベル試験250点、日本語NAT-TEST5級以上が必要です。日本語教育を1年以上受けていた場合は、当該教育機関の卒業証明書、成績証明書でも認められる可能性があります。

認められる活動内容

  1. 日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するための活動(日本語を習得する活動を含みます)
    • 例えば、地方公共団体が開催する無料の日本語講座に毎週通い、日本語の勉強を行うこと、柔道や茶道の教室に毎週通い、日本文化の勉強をすること、町内会や消防団等に参加し、定期的に活動を行うことで、地域社会との交流を深めること等です。
      これらの活動は少なくとも1週間に1回程度で、継続的に行われていることが必要です。
  2. 上記1の活動を行うために必要な資金を補うために必要な範囲内の報酬を受ける活動
    • 1の活動を行うことなく、2の報酬を受ける活動のみを行うことはできません。1の活動を行うために必要な資金の範囲内での報酬を受ける活動に制限されるためです。

在留期間

通算して最長5年間です。再入国許可又はみなし再入国許可で出国していた期間も含まれます。一旦母国に帰国し、再度本制度を利用して在留する場合は、前回の在留期間を含めます。

在留期間更新申請

日本入国時、最初は6か月の在留期間が付与されます。その後、更新毎に日本語能力の習熟度が確認されます。

在留期間更新時点で日本での在留が1年を超えている場合は、日本語能力試験N4、J.TEST実用日本語検定のD-Eレベル試験350点、日本語NAT-TEST4級以上が必要です。

在留期間更新時点で日本での在留が3年を超えている場合は、日本語能力試験N3、J.TEST実用日本語検定のD-Eレベル試験500点、日本語NAT-TEST3級以上が必要です。

【番外編】「定住者」が認められるケース

日系3世である親の「扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子」のうち、当該親は帰国するものの、本邦において在学中であり、引き続き在学したいとして在留を希望する者については、一定の年数、当該親と共に在留し、日本の教育を受けている事情等を鑑み、適切な監護人があること及び滞在費支弁方法等を確認の上、「定住者」の在留資格を認める方向で検討されます。

まとめ

「特定活動」での日系4世の日本在留についてご紹介いたしましたが、認められる活動の範囲の狭さや在留期間の短さのため、あまり活用されていない在留資格かと思います。

「特定活動」での在留資格を考える前に他の就労系資格の取得余地はないか、又は「特定活動」で在留したとしても、今後日本に長く滞在することを希望する場合は、将来の就労系資格の取得を前提とした仕事の選択をしましょう。

どのような仕事が将来の在留資格取得につながるかについては、専門家に相談する等して、慎重に検討しましょう。

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