アポスティーユとは?公文書、私文書の認証方法について解説いたします

海外での子会社設立、不動産の取得等、海外で何かビジネスを始める際やビザを取得する際に、当該国の公的機関等から、パスポート写しや卒業証明書、犯罪経歴証明書等の公文書、又は契約書や誓約書等の私文書の提出を求められる場合があります。
日本で作成した公文書、私文書は、原則日本国内でのみその効力を認められますが、海外の公的機関に提出する際に、事前に認証を受けることで、当該国で効力を発揮することが可能となります。
海外に提出する書類の認証方法について解説いたします。

文書の種類

全ての文書は、公文書と私文書に分けられます。

公文書とは、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)、住民票、犯罪経歴証明書等、国や自治体が発行した書類です。

国公立の教育機関が発行した卒業証明書も公文書となりますが、国公立大学法人〇〇大学等、法人化している学校や、私立学校が発行した書類は私文書扱いとなる場合がありますので注意が必要です。

パスポート原本は公文書ですが、パスポートを認証する際は基本的に写しの認証となります。写しの場合は、原本が公文書であっても私文書となります。

公文書に英訳文等の訳文を添付して認証する際は、全て私文書となります。

公文書以外の書類は全て私文書となります。

※参照「申請手続きガイド 1 証明できる書類|外務省 (mofa.go.jp)」

ハーグ条約(アポスティーユ)について

文書の種類が確定したら、次に提出先の国がハーグ条約加盟国であるかどうかを確認します。

ハーグ条約とは、別名「外国公文書の認証を不要とする条約」であり、「アポスティーユ」という証明を受けた公文書であれば、加盟国の大使館の認証を受けたものと同等として扱われます。

※参照「「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」の締約国(地域)(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000610.html

※注意点
提出先がハーグ条約加盟国であっても、日本の当該国大使館での認証を求められるケースもありますので、事前に提出先に確認しましょう。

具体的な手続

ハーグ条約非加盟国の場合

公文書

  1. 外務省での公印
    文書に外務省の公印を押印し、証明を受ける手続きです。
    (必要書類)
    ・認証を受ける文書
    ・申請書(外務省窓口にあり)
    ・身分証明書
    ・委任状(代理人による認証の場合)
  2. 大使館での認証
    日本にある提出先国の大使館にて認証します。
    国によって必要書類は異なりますが、ほとんどは認証を受ける文書と手数料のみで問題ありません。代理人による認証でも、委任状は不要の場合が多いです。
    受付日時が限定的な場合が多いので、詳しくは事前に大使館に確認しましょう。

私文書

  1. 公証役場での認証
    公証役場にて、公証人の認証を受けます。
    公証役場認証の後は外務省での公印申請が必要ですが、北海道(札幌)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県の公証役場は外務省の公印までワンストップで受けられますので、なるべく上記地域の公証役場で認証手続きをしましょう。
  2. 外務省での公印
    上記公文書の場合と同じです。
  3. 大使館での認証
    上記公文書の場合と同じです。

ハーグ条約加盟国の場合

公文書

  1. 外務省でのアポスティーユ申請
    アポスティーユと呼ばれる証明を受ける手続きです。
    アポスティーユを取得した文書は、ハーグ条約加盟国の認証を受けた文書と同等の扱いとなりますので、そのまま提出先国にて使用できます。
    (必要書類)
    ・認証を受ける文書
    ・アポスティーユ用申請書(外務省窓口にあり)
    ・身分証明書
    ・委任状(代理人による認証の場合)

私文書

  1. 公証役場での認証
    上記「ハーグ条約非加盟国」の場合と同じく、公証役場にて、公証人の認証を受けます。
    公証役場認証の後は外務省でのアポスティーユ申請が必要ですが、北海道(札幌)、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、福岡県の公証役場はアポスティーユまでワンストップで受けられますので、なるべく上記地域の公証役場で認証手続きをしましょう。

ハーグ条約加盟国と非加盟国の手続きの流れについては、以下の図もご参照ください。

まとめ

提出先国がハーグ条約加盟国か非加盟国か、提出する文書が公文書か私文書かによって4パターンの認証方法があります。文書によっては公文書、私文書の判断が難しかったり、外務省、公証役場、大使館それぞれの手続きの方法が異なることによって煩雑になったりすることもありますので、初めて認証を行う際は専門家に相談することをお勧めいたします。

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