レストランの料理人のビザとは?【在留資格「技能」について】
中国料理やフランス料理等、外国料理のレストランに行くと、中国人やフランス人等本場のコックが料理をしていることがあります。このような方々は「技能」と呼ばれる在留資格に該当します。
「技能」の取得要件、どのような業務が当てはまるかについて解説いたします。
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目次
「技能」とは
「技能」が該当する外国人については、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と定められています。
こちらを詳しく見ていきましょう。
「産業上の特殊な分野」の意味
以下のような分野が該当します。
- 外国特有の産業分野
- 外国の技能レベルが日本よりも高い産業分野
- 日本において熟練した技能を有する者が少数しかいない分野
上記1~3のいずれかに当てはまれば、「産業上の特殊な分野」と言えるとされています。外国特有の技術や文化に根差した産業でなくても、その産業の熟練者が日本において少ない分野であれば認められる可能性があることがポイントです。
【具体例】
・世界各国の料理人(中国、フランス、イタリア、インド料理等)
・外国特有の建築技術者(モンゴルの住居「ゲル」等)
・宝石、貴金属、毛布等の加工技術者
「熟練した技能を要する業務」の意味
「個人が自己の経験の集積によって有することになった熟練の域にある技能を必要とする」ことと解されています。
たとえ外国特有の産業だとしても、その業務が機械のボタンを押すだけであったり、反復継続性の高い単純作業であると「熟練した技能を要する業務」とは言えません。
職業ごとの要件
調理師、製菓技術者(レストランの料理人等)
「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なもの」と規定されています。
料理や食品そのものが外国において考案されたものである必要はありませんが、その調理や製造に係る技能が外国において考案されたもので、かつ日本にあまり普及していないものである必要があります。
中国料理、フランス料理等、外国料理の調理師や「点心」、パン、デザート等の食品を調理する調理師、パティシエ等が該当します。
調理師等としての実務経験は10年以上必要です(外国の教育機関において、当該料理の調理や製造に係る科目を専攻して教育を受けた期間も含む)。
事業所の規模
調理師として技能を十分に発揮できる規模の事業所、店舗が確保されていることが求められます。厨房と座席スペースが確保されていることはもちろん、メニューの内容、コース料理の有無、店舗の外観等も審査対象です。
例えば、インド、パキスタン料理では、タンドール(釜)は必須です。その他、料理によっては必要不可欠な設備がそろっているかを審査されます。
提供される料理
熟練した技能を要する料理品目がメニューの大半を占めていることが重要です。
また、ラーメン、カレー等、起源が外国にあるような料理だとしても、日本において一般的に普及している料理は認められにくいです。
他の従業員との兼ね合い
既に調理師を雇用しているレストランにて申請する場合、他の調理師との業務の兼ね合いが問題となる場合があります。現在の調理師の人数で既に営業ができていれば、追加で雇用する必要性を合理的に立証する必要があります。
例えば、「現在の調理師は週休1日であり、週休2日とするにあたって人数を増やしたい」、「営業日数を増やすに当たり、増員したい」等です。
「技能」で働いている外国人は、店内の清掃、接客、配膳等は基本的にはNGとなるため、調理師しかいないシフト日の設定は認められません。必ず調理師とホールスタッフ双方が出勤する必要があります。
その他の「技能」対象者
「技能」の在留資格を取得する外国人は、レストランで働く調理師が多くを占めています。調理師以外にも当てはまる技術者等をご紹介いたします。
- 外国様式の建築物の建築技術者
- 外国の伝統的な建築様式や、外国で考案された日本ではあまり普及していない建築方法に係る技能が当てはまります。
例えば、ゴシック、ロマネスク、バロック等ヨーロッパの伝統建築様式、中国式、韓国式、モンゴル式の建築、土木に関する技能です。
建設作業員として現場での作業に直接従事する肉体労働者ではなく、日本の技術者に対する指導及び技術移転であることが求められます。
- 外国の伝統的な建築様式や、外国で考案された日本ではあまり普及していない建築方法に係る技能が当てはまります。
- 外国特有製品の製造・修理技能者
- ヨーロッパ特有のガラス製品、ペルシャ絨毯、海外の高級ブランドの腕時計の修理者等、日本にはない外国特有の製品の技術者が当てはまります。
- スポーツ指導者
- 野球やサッカー等のプロスポーツの監督、コーチ等は「興行」という別の在留資格に当てはまりますが、ここでいうスポーツ指導者は、プロスポーツ以外の、いわゆる生涯スポーツと呼ばれるようなスポーツの指導者が当てはまります。
【例】
・気功指導
・ヨガ、整体の指導
・商業ラフティングのガイド
・キャニオニングのガイド
・ロッククライミングの指導
【要件】
①スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む)
②スポーツ選手として、オリンピック、世界選手権等、世界的な大会に出場したことがある
- 野球やサッカー等のプロスポーツの監督、コーチ等は「興行」という別の在留資格に当てはまりますが、ここでいうスポーツ指導者は、プロスポーツ以外の、いわゆる生涯スポーツと呼ばれるようなスポーツの指導者が当てはまります。
まとめ
外国由来の製品や技術であれば、「技能」が当てはまる可能性があります。上記で述べた以外でも許可が認められる職種は幅広く可能性がありますので、検討の際は専門家に相談することをお勧めいたします。
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【Profile】
2014年に明治学院大学法学部を卒業。その後大手行政書士法人にて7年間業務に携わり、2022年10月にリノバース行政書士事務所を開業。外国人のビザ、在留資格申請をはじめ建設業、宅建業等の各種許認可申請、会社設立、合併、分割等の会社法関連業務を得意とする。