株式会社設立【基本編】
初めて株式会社を設立する方に向けて、基本的な手続きの流れと必要書類等をご紹介いたします。
※外国人が会社を設立する際は以下ページをご参照ください。
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機関設計
株式会社の機関というと、取締役や監査役がすぐに思い浮かぶかと思いますが、設置が義務付けられている機関とそうでない機関があります。どのように会社を運営していきたいかによって、機関設計を考えましょう。
大会社と非大会社で異なりますが、初めて株式会社を設立しようと思っている方はほとんど非大会社かと思いますので、今回は非大会社かつ株式譲渡制限あり(非公開会社)の場合について解説いたします。
・設置が義務付けられている機関
- 株主総会
- 取締役
・設置が義務付けられていない機関
- 代表取締役
- 取締役会
- 監査役
- 監査役会
- 会計監査人
- 委員会
- 会計参与
- 執行役
※取締役会を設置する場合は監査役又は会計参与を設置しなければなりません。
株主、取締役ともに自分だけや家族だけの場合は株主総会と取締役のみでよいでしょう。身内以外の出資者や取締役がいる場合は、取締役会を置いて話し合いの場を定期的に設けたり、取締役の業務や会計を監査するという意味で監査役を置くのもよいかと思います。
それ以外の機関は、基本的に大会社を想定して作られています。監査役会や委員会等は会社が大きくなってきたときに考えましょう。
出資額
会社法改正により、資本金は1円からでも会社設立できるようになりました。とは言ってもあまりに少ない額だと会社としての信用に影響します。事業が軌道に乗るまでの間、3か月~半年の運転資金を計算して資本金とするケースが多いです。また1,000万円を超えてしまうと消費税が課せられてしまうことも覚えておきましょう。
決算月
一昔前だと「決算月は3月」と決まっているような風潮でしたが、今はそうではありません。逆に多くの会社が決算を迎える3月は税理士も忙しく対応が遅くなるため、3月を避ける会社も多くあります。決算月の考え方の例をご紹介いたします。
1,事業の繁忙期がひと段落する次の月
売上が多く見込める繁忙期のすぐあとが決算月だと、忙しい中でも決算に向けて業績向上を目指して頑張ろうという気持ちになり、会社としての機運が高まるという考え方です。
2,閑散期の月
季節性が強い事業の場合、閑散期はある程度読めると思いますが、忙しくない月に決算作業を行いたいという考え方です。
3,設立月から一番遠い月
設立した後にすぐに決算を迎えてしまうと、会社として何も動いていないのに決算作業を行わなくてはならず、初年度の決算作業があまり意味を成しません。設立後ある程度売り上げが立ってから決算を迎えるべく、設立月から一番遠い月を決算月とする考え方です。
定款
定款とは、すべての株式会社で備えている、会社運営に関する基本的なルールが記載されたものです。「会社の憲法」と呼ばれたりもします。株式会社であれば、会社設立の際に公証役場にて定款認証をし、公証人によって認められた定款を添付する必要があります。
定款には「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」があります。
絶対的記載事項
会社法で定められた、記載が必須な事項です。以下の項目を記載していないと公証役場の認証は受けられません。
① 商号(会社の名称)
② 目的(会社の事業内容)
③ 本店の所在地
④ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
⑤ 発起人の氏名または名称及び住所
⑥ 発行可能株式総数
※⑥は認証時ではなく、設立登記時にまでに必要。
相対的記載事項
記載が必須ではないですが、記載しないと効力が発生しない事項です。代表的な例をご紹介します。
① 公告の方法
② 基準日に関する規定
③ 株式譲渡制限に関する規定
④ 単元株に関する規定
⑤ 株主総会などの招集通知を出す期間の短縮に関する規定
⑥ 設置が必須ではない機関(監査役、取締役会、会計参与等)に関する規定
任意的記載事項
会社法に規定があるため、定款に記載せずとも効力を生ずる事項です。事業年度や株主総会の議長に関する規定が当てはまります。
※注意点※
事業目的を記載する必要がありますが、これから行う事業を具体的に記載するケースが多く見受けられます。事業目的は謄本にも載るため第三者から見て分かりやすく具体的な方がよいという意見もありますが、あまり具体的に書きすぎるとそれ以外の事業を行うときに目的変更せざるを得ない事態になりかねません。
例えば、「飲食店に対するコンサルティング業務」と記載すると、具体的でわかりやすいですが飲食店以外に対するコンサルティングができません。「経営に関するコンサルティング業務」や単に「コンサルティング業務」と記載すれば、将来取引先が増えて様々な業界に対するコンサルティングが発生しても目的変更せずに済みます。事業目的は、将来発生しそうな事業を想定した上で考えましょう。
資本金の払い込み
発起人となる方の口座に発起人名義で振り込む必要があります。資本金の「払い込み」があったことを証明する必要があるので、既に資本金額の預金がある口座を用意するだけでは足りません。一度引き出してすぐに振り込めば大丈夫です。
印鑑の作成
忘れがちなのが、会社印の作成です。印鑑業者に頼むと1~2週間ほどかかる場合が多いので、早めに準備しましょう。
一般的には、登記する会社実印、銀行印、角印の3点セットを準備します。
登記
必要書類を準備して、法務局に申請します。一般的な必要書類は以下の通りです。
① 公証役場認証済み定款
② 代表取締役の印鑑証明書
③ 取締役の印鑑証明書(取締役会設置会社の場合は本人確認書類(免許証等)写し)
④ 監査役の本人確認書類(免許証等)写し
⑤ 印鑑届書
⑥ 印鑑カード交付申請書
⑦(取締役、監査役等の)就任承諾書
⑧ 資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書
⑨ 資本金の払い込みを証する書類(通帳コピー等)
⑩ (代理人に登記申請を委任する場合)委任状
※機関設計によって必要書類は異なる場合があります。事前に法務局に確認しましょう。
登記申請後、登記の完了までは2~3週間ほどかかります。登記が完了すると履歴事項全部証明書、いわゆる謄本が取得できます。謄本は銀行口座の開設や税務署への開設届の提出等に必要となります。
まとめ
会社の設立までは早くて1か月、初めて行う方は2か月は見ておいた方がよいでしょう。定款認証や必要書類の準備など、やるべきことはたくさんありますので、設立日の希望がある場合は専門家に相談してスケジュール管理した方がよいでしょう。
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【Profile】
2014年に明治学院大学法学部を卒業。その後大手行政書士法人にて7年間業務に携わり、2022年10月にリノバース行政書士事務所を開業。外国人のビザ、在留資格申請をはじめ建設業、宅建業等の各種許認可申請、会社設立、合併、分割等の会社法関連業務を得意とする。
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